課長四天王

わたくしは今、
所属している部署の業績が思わしくないため
人員を増やしてもらうことができず、
ひとりであちこちの課の仕事をかけもちしている。
(だから必要以上に多忙なのだろうと思う…思いたい)
(手際が悪い、とか、どんくさい、などと自分を責めないでおこう)

悲しい話ではあるが、それぞれの課に上司がおり、
またその上司たちが素敵なおっさんばかりなので
ヒーヒー言いながら働いていても案外楽しんでいる。
中でもおのれの中でこっそりと“課長四天王”と呼んでいる
4人の課長が大好きである。

それぞれたいそう仕事ができる人たちばかりなのに、
それぞれ意外な弱点をお持ちなのだ。
その弱い部分をわたくしに頼ってこられる。
(PC作業が苦手、とかその程度である)

本当は弱点なんてないんじゃないのか?
なんの特技も資格も学歴もない、
ただ真面目に仕事することしかできない女性社員に
花を持たせてくれているのではないか?
などと思ったりしてしまうのだが、
それでも頼ってくれるのならと
黙々と任務を遂行するよう心がけている。

先日は出張先より課長四天王のひとり・おこりんぼ課長から
「メールの添付ファイルが開けない」と電話があり、
電話口で長々と説明し、ようやくファイルが開封できたときに
「もーっ! 50(才)のおっさんにはこういうの無理なんだよおっ!」
と叫んでおられて「あ、ほんとに弱点なんだな」と思ったところで
「おまえ今、ちょっと笑ったな! 大変なんだぞ、おっさんは!」
「おまえらみたいに若いときからパソコンなんてなかったんだからな」
とぷりぷり怒った様子で唐突に電話を切られた。
(通常運転なので気にしない)

他人に弱点があるとホッとする、というのはどうかと思うが
人間らしくていいじゃない(人間だもの)と思うようになった。
(人間もちょっとばかり長く生きていると狡くなる)

(ちなみに電話をブツ切りしたおこりんぼ課長は翌日に
 「昨日はありがとっ!」と一言、ぶっきらぼうに電話をしてきた)
(ときめかずにいられようか)